愛犬の歯の根元が茶色い・・これって歯石?
2013.11.27 | 健康
わんちゃんの歯の根元が茶色くなっていることがあると思います。
これは多くが「色素沈着」で、多くの場合は無理にスケーリングする必要はありません。
■初めての患者様からの質問
わんこの歯医者さんへ、初めての患者様からメールで次のようなご質問がありました。
同じようなケースは少なくないと思いますので、ここでご紹介させていただきます。
「比較的従順な子なので、私が上の歯の歯石取りをしています。
下の歯の歯石は食いしばるようにしてやらせてくれません。
下の歯は歯石というより茶色い汚れが気になります。」
この患者様は、ご自身で歯石取りをされています。
ですから「歯石」と「そうでないもの」の区別はおできになると考えられます。
歯についた、「歯石ではない茶色い汚れ」は「色素沈着」だと思われます。
色素沈着は、食べ物にふくまれる色素が歯にこびりついてしまったものです。
たしかにわんちゃんの歯が汚れているのは、飼い主様にとっては気になることだと思います。
しかしこの色素沈着、スケーリングして除去する必要があるのでしょうか?
■色素沈着は無理にスケーリングする必要はない
当院の見解では、色素沈着は無理にスケーリングしないことをおすすめしております。
メリットよりデメリットのほうが大きいからです。
◎色素沈着を落とすことのメリットは?
色素沈着をスケーリングして落とすことのメリットは、
「歯が白くきれいになる」ことです。
これはわんちゃんをドッグショーに出されたりする場合には、大切なことだと思います。
ただ色素沈着は、病気の原因とはなりません。
これが「歯石」とは違うところです。
歯石は放置してしまうと、歯周病を引きおこします。
歯周病は悪化すれば、わんちゃんの歯が抜けたり、
内臓疾患をおこしたりすることにつながります。
ですからわんちゃんの健康のため、歯石は取る必要があります。
しかし単なる色素沈着は、放っておいてもわんちゃんの健康には問題ないことが多いです。
◎色素沈着を落とすことのデメリットは?
色素沈着をスケーリングして落とそうとすると、
わんちゃんの歯のエナメル質を削りとってしまうことがあります。
これが色素沈着をスケーリングすることのデメリットです。
わんちゃんのエナメル質は人間のものより薄いので、削られやすいのが特徴です。
エナメル質が削られてしまうと、歯の表面がザラザラして、
新しい歯石がつきやすくなることもあります。
以上のように、色素沈着をスケーリングしなくても、
わんちゃんの健康には何ら問題がありません。
それに対してスケーリングをすることで、歯石をつきやすくし、
わちゃんの健康を害する危険があります。
「わんちゃんの健康」という観点で考えれば、
色素沈着のスケーリングは、メリットよりデメリットのほうが大きくなります。
飼い主様としては気になることとお察ししますが、
歯石が見当たらないようであれば、そのままにされることがおすすめいたします。